嵐 敦子さん インタビュー編 第3話

金沢市内でヴィーガンデリniginigi(にぎにぎ)を友人のちかちゃんと営む嵐 敦子(あらしあつこ)さん。
戦場カメラマンになるんだ!と学生時代は大阪でカメラの勉強をされていたそう。
その後の沖縄生活中はカメラの世界から離れたものの、ひょんなことが続いて、最近はラオスで撮影する機会も!
嵐さんのご友人夫婦が営むコーヒースタンド「one one otta」の写真とともにお楽しみください。

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第3話「戦場カメラマンとフェアトレード」

———嵐さんは、どうしてカメラを学ぼうと思ったんですか?

高校のとき、父からとっても古い一眼レフのフィルムカメラをもらったのがきっかけ。
いつも友だちを撮って遊んでたんやけど、フィルムだから現像するまでちゃんと撮れてるか、撮ってるほうも撮られるほうもわかんない。
でも、その失敗な感じも新鮮で、友だちも喜んでくれて、そこでハマってしまった。
で、カメラの学校に進学したいことを父に相談したら、「なんでやりたいんだ?」とすごく聞かれて。
私はどんな写真が撮りたいんかな?って考えたら、ドキュメンタリーとか戦場の写真が撮りたい、戦地で死んだら本望や! くらいの勢いで戦場カメラマンになるつもりやった。笑

———ぜんぜん見た目と違う。笑

よく言われる!笑

———突き抜けてますね。

その頃は、そんな感じやったね。
「男の人に負けたくない!」みたいな。
今はぜんぜんそんなことないけど。笑

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———卒業してからは、カメラの仕事をされてたんですか?

学生のときからバイトしていたスタジオで就職することになってた。
でも、それもひょんなことで違う方向に流されていくんですけど。

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ひょんなこと その1
———ひょんなことって?

実は、小さいときお琴を習ってて。
でも、徹底して練習してこない生徒として有名で、いちばん出来が悪かったせいか、先生が可愛がってくれて。
大阪に進学したときも「あっちゃん、いつ帰って来るんや?」と電話をもらったり。
私はもう戻らない、就職もこっちでするつもりです、と伝えたら、「今度帰ってくるとき、顔みせて。撮った写真も見たいし」と。
それで、帰省したとき写真を持って先生のところに行ったんです。
そしたら、なぜかいきなり車に乗せられて、着いたところは映像会社。
社長さんとすでに話しがついてて、「その写真も見せてみなさい」と。
いきなり面接。笑
だまされたー!
と思ったけど、私は流れに身を任せる性格やから「わかりました」と。笑

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入ってみたら写真の会社じゃなくて映像やったから、イチから教えてもらうことになって。
ちっちゃなプロダクションやったけど、男社会で、私もまだ負けん気が強かったから、男の人と同じことさせてくださいって言って、カメラ持たせてもらったり、男みたいな体力仕事もこなしてた。

———すごい!

でも、いつも2〜3時間しか寝られなくて休日もないし、体力的にずっと続けられる仕事じゃないなって。
3年がんばってみたけど、後先考えず辞めてしまった。
で、ネットで見つけたのが、3ヶ月の沖縄やった。

———あのテント生活の! 沖縄がリセットだったんですね。
(詳しくは第2話「沖縄テント生活」をご覧ください。)
それからカメラは触ってない?

うん。沖縄にいるときは「食」に興味があったから、ぜんぜん。
でも、一昨年、またひょんなことでカメラと映像を担当することになって。

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ひょんなこと その2

いろいろあった沖縄生活を終えて戻ってきてから、フェアトレードのお店で働いてたんやけど、久しぶりに会った幼なじみのリエと一緒に働くことになって。
そのお店で、リエも私もフェアトレードのことを勉強して、これは続けていきたいねって。

———フェアトレードって、発展途上国と適正価格でものを取引するという仕組みのことですよね。

そうそう。
で、あるときリエが「ラオスに行こう! もうチケット取っといたから」って。笑
なにしに行くん?って聞いたら、フェアトレードの服を作りたいって。
ラオスって田舎のほうに行くと英語すら通じなくて。
どうしようと思ってたら、リエの友だちで海外青年協力隊でラオスに行っていた方がいて、その方が通訳、カメラと映像は私が担当するかたちで行くことになったの。

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———たのしそう!

オーガニックコットンで洋服を作ってもらおうと思って、パタンナーの友だちに洋服の型紙を引いてもらって、それを持ってラオスに行ったんやけど、ラオスのコットンて本当にゴワゴワで紡いだままのような状態。
気持ちいいんやけど、ふわふわぼこぼこしてて、ブランケットみたいで、洋服のような細かい縫製には向いてないって、現地で気づいて。笑
じゃ、ブランケットを作ってもらおうって切り替えて現地を探したら、運良く昔から家族経営で機織りをやってるところと出会えて、今でもずっと作ってもらってる。

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日本に戻ってきてから、なんにも知らない女性だけでやるってちょっと無謀…、でも、もう商品は注文してきてしまったし、どうしよう…って考えてたら、ちょうどブランディングを仕事にしてる友だちがいて。
その人を東京から呼んで、「お願いします、プロデュースしてください」って、仕事としてお願いしたら、何から何まで全部ブランディングしてくれた!

———なんていうブランドになったんですか?

「ニムディエ」。
ラオス語で「笑って」という意味。
ロゴはメコン川と月。
メコン川のそばのレストランで、月明かりの下で過ごしたラオス最後の夜。

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ニムディエのオープニングのとき、ラオスで私が撮った写真を飾って、映像を流して…
そのとき、そういうのまたやりたいなーって思った!

———3人の行動力はすごいですね!!

今回はたまたまラオスでブランケットやったけど、これからは「旅」をテーマに、ちがうところで作りたいなって思ってる。
海外の案もあったけど、まずは日本。廃れていく技術をつないで、日本のちゃんとしたものを作って海外に売り出していきたい。
「フェアトレード」という認証にこだわらず、気づいたら、それと同じことなんや、というのを押し付けがましくない感じでやっていきたいねってみんなで話してる。

———何人くらいのプロジェクト?

メインはリエと私。
それから、通訳でラオスに来てくれたユウちゃんと、ブランディング担当のシンペイ君。
パタンナーのサヤカちゃんと山梨で大学の先生をやってる方の6人。

———素敵なメンバー! いい友だちに恵まれてますね!

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次回は嵐さんの最終話。
友人のちかちゃんと営むniginigiのお話し、
「あっちゃんとちかちゃん」をお送りします。
どうぞ最後までお楽しみに!

撮影協力地

one one otta(ワンワオッタ)(金沢市池田町3-29-3 TEL.076-255-3021 http://www.oneoneotta.com
店名の由来はお子さんが初めて口にした言葉が「ワンワン、おった!(犬、いた!)」だったことから。手作りのスイーツと立ち上るコーヒーのいい香りに足を止めて、ほっこりしたくなる。2階はご主人のデザインルーム。ギャラリーやアートバザールを開催することも。
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nimder! (ニムディエ)(http://nimder.com/
niginigiでも取り扱い中。
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ご協力ありがとうございました!

取材・文:吉田知奈(あわら市出身)写真:前田 龍央(福井市出身)